トム・ピーターズ「エクセレント・カンパニー」 私の読書メモを紹介します。
著者:トム・ピーターズ
目次
• 1.本書からピックアップ
• 2.感想
• 3.この言葉の活かし方
• 4.まとめ
• 5.私の読書メモで紹介した本
1.本書からピックアップ
人が仕事に打ち込むのは、自分は成功していると組織や制度が思わせている時である 。「成功のもとは成功」と言う格言がある。モチベーションの研究が明らかにしているところでは、動機付けのうち一番重要なのは、単に自分はうまくやっていると言う自覚なのだと言う。
業績向上目標とした活動において、最も大切な事は、結果がはっきり出そうなことに第一に的を絞ることである。まず結果を生むやり方は、業績向上に対する心理をすっかり変えてしまう。設問の仕方を変えることが大切なのである。「何が障害となっているか」ではなく、「これから先、短時間でできる事は何か」と考えるべきなのだ。
私たちが超優良企業について引き出した最も重要な結論の1つは、その企業の業種が金属加工業であれ、先端技術であれ、またはハンバーガー販売であれ、すべて自らをサービス業だと規定していると言うことである。
超有料企業についてよく見られる信条の際立った特徴は、範囲が狭く、そこには2、3の基本的な価値観が盛り込まれているだけである。
1.ベストであると言う信条
2.細部をきちんとやることが重要であり、良い仕事の基礎だと言う信条
3.人間の個性を重視すると言う心情
4.優れた質とサービスへの信条
5.組織のほとんどのメンバーが革新者となり、そこから当然失敗を進んで許容すべきだと言う信条
6.形式主義を排して、意思の疎通を強めることが重要だとする信条
7.経済成長と利潤が重要だとする明らかな信条とそのことの認識
2. 感想
「成功のもとは成功」—小さな成功が大きな成功を生む
- 本書が示す「成功のもとは成功」という考え方は、モチベーション理論や組織マネジメントにおいて重要なポイントです。人は「自分がうまくやれている」と実感すると、さらに成果を出す行動につながる。つまり、成功する企業は、社員が「自分の仕事が成果につながっている」と実感できる環境を整えている。小さな成功を積み重ねることで、自信と成長の好循環を作っている。
- たとえば、Googleは社員に「20%ルール(業務時間の20%を自分の好きなプロジェクトに使える制度)を与えることで、 小さな成功体験を積み重ねる仕組みを作っている。その結果、GmailやGoogleマップといった革新的なサービスが誕生しました。
- 企業が社員の「成功体験の可視化」を意識することで、組織全体のパフォーマンスが大きく向上することを本書は示しています。
「何が障害か?」ではなく、「短時間でできることは何か?」
- 本書の「設問の仕方を変えることが大切」という考え方は、問題解決やマネジメントの実践において極めて有効です。多くの組織では、問題に直面したときに「なぜうまくいかないのか?」という視点で考えがちです。しかし、成功する企業は「今すぐできること」に意識を向けることで、行動を促し、成果を生み出しています。この考え方は、リーンスタートアップや アジャイル思考にも共通するもので、
• 長期的な戦略だけでなく 「すぐに試せる小さな施策」を実行する
• 100%完璧を目指すのではなく 「まず動いてみる」
• 短期間で成果を出し、 その結果を元に改善を繰り返す
といった、実践的なアプローチにつながります。 - 例えば、トヨタの 「カイゼン(改善)」 文化は、「大きな変革を起こす前に、小さな改善を積み重ねる」ことを徹底することで、世界最高水準の生産システムを築きました。このように「今すぐできること」にフォーカスすることで、組織の成長を加速できるのです。
「すべての超優良企業は、自らをサービス業と規定している」
- 本書の中でも、特に示唆に富んでいるのがこの視点です。どの業種であっても、成功する企業は 「サービス業としての視点」を持っている。たとえば、
• マクドナルド → 「ハンバーガー販売業」ではなく、「ファストフードサービス業」として顧客体験を重視
• Apple → 「ハードウェアメーカー」ではなく、「ユーザーエクスペリエンスを提供するサービス業」
• Amazon → 「ECサイト」ではなく、「顧客利便性を最大化するサービス企業」
つまり、 「顧客に提供する価値は何か?」 を問い続ける企業が、持続的な成長を遂げるのです。これは、どんな業界の企業にも適用できる考え方で、特にBtoB企業や製造業にとって、「我々は単にモノを売るのではなく、どのような価値を提供するのか?」を考えることが、競争力強化の鍵となることを示しています。
エクセレント・カンパニーの7つの信条
- 成功企業の共通点として、本書は 7つの信条を示しています。特に重要なのは、「細部へのこだわり」と「革新と失敗の許容」の2点です。
- 「細部をきちんとやることが重要」
優れた企業は、戦略だけでなく 「実行の精度」 を徹底的に磨き上げています。
• トヨタのカイゼン文化 は、現場の細かな改善の積み重ねが競争力の源泉となっている
• スターバックスは「コーヒー1杯の温度や香り」まで管理し、顧客体験を徹底 - 「革新と失敗の許容」
多くの企業が「成功しなければならない」と考える一方で、エクセレント・カンパニーは「失敗を許容し、そこから学ぶ文化を持っている」ことが特徴的です。
• Googleは「20%ルール」で社員の自由な発想を奨励 し、GmailやGoogleマップなどの革新が生まれた
• Amazonは「失敗こそが成功の源」と捉え、新サービスの実験を繰り返す(Fire Phoneの失敗を乗り越え、Alexaが生まれた)
このように、「失敗を恐れない文化」を持つ企業は、持続的な成長を遂げています。
3. この言葉の活かし方
「成功のもとは成功」 → 小さな成功体験を積み重ねる
具体的な活かし方
• 定期的にフィードバックを行い、成功を実感できる機会を増やす
• チームの成功を共有し、称賛し合う文化を作る
実践例
営業チームが「年間売上目標」を立てるだけでなく、「今月の新規顧客獲得数」「リピート率の向上」「顧客満足度スコアの改善」などの小さな指標を設け、それを達成するごとにフィードバックを行うことで、社員のモチベーションを持続させる。
「何が障害か?」ではなく、「短時間でできることは何か?」 → すぐに行動を起こす
具体的な活かし方
• 短期間で試せる施策を導入し、成果を出すサイクルを作る
• 「大きな塊(目標)」ではなく、すぐ行動に移せる「小さな塊(目標)」を設定する
実践例
「新規顧客を増やすには?」ではなく、「今月中に100件のアプローチを試す」「売上を伸ばすには?」ではなく、「新規リードを毎週10件獲得する施策をテストする」。
4.まとめ
本書が示すエクセレント・カンパニーの概念は、単なる成功企業の特徴をまとめたものではなく、組織や個人が継続的に成果を上げるための原則を明確にし、それを実行するための指針を与えるものです。
• 「何が障害か?」ではなく、「今すぐできることは何か?」を問う —すぐに行動し、小さな成果を積み重ねることで、成長のスピードを加速させる
• すべての超優良企業は「サービス業」としての視点を持っている —業種を問わず、「顧客にどんな価値を提供するか」を最優先に考える
• 優れた企業文化は、細部へのこだわりと失敗を許容する姿勢から生まれる —形式主義を排し、実行と学習のサイクルを回し続けることが重要
この考え方を取り入れることで、組織の成長だけでなく、個人のキャリアや仕事への向き合い方にも応用できるでしょう。あなた自身の「今すぐできること」は何でしょうか?それを明確にし、小さな成功体験を蓄積することで、より充実した仕事や人生を築くことができるはずです。
5.「私の読書メモ」でご紹介した本
トム・ピーターズ「エクセレント・カンパニー」(Amazon)
カテゴリー
・私の読書メモ
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