良い商品が備える条件
商品が良い(旨い)だけでは売れない時代になりました。
今日のランチから繁盛店をつくるポイントについて考えてみましょう。
今日のランチはとんかつを食べた。
今朝、わが家の食卓で豚肉の美味しい食べ方についての話題で盛り上がって、
豚ステーキやショウガ焼きも捨てがたいが、ここではとんかつということで決着した。
そんなこともあって、今日の昼は久しぶりにとんかつが食べたくなった。
午前中の仕事が長引いたこともあって、
ランチはピークタイムをずらしていくことになった。
今日の仙台は雨が降っていたが、
久しぶりに街の中心部の商店街通りまで足を伸ばしてみた。
一度も入ったことがない店がいいと思った。
商店街のアーケード通りから脇道に目を配ると、
黄色い旗に黒い文字で大きく「とんかつ」という文字が目にとまった。
外から窓ガラス越しに店内を覗くと、カウンターとテーブルが見えて
古き良き時代の昭和をイメージした店内に好感を持ったので入ってみることにした。
店に入ると昼時のピークタイムを過ぎていることもあって客は数人。
カウンターもあったが、店員が導く入口近くのテーブル席に腰を下ろした。
オーダーしたのは、もちろんとんかつだ。
ランチタイム900円と壁の張り紙に書いてある。
しばらくしてすりこぎ棒と鉢に入ったごまの粒が出された。
ごまをすりながら待っていると、小鉢のサラダも出てきた。
サラダを食べながら待っていると、本日の真打ちとんかつが登場した。
山盛りキャベツの千切りにレモン、きつね色にほどよく揚がったとんかつ。
自家製の壺に入ったソースをすりつぶしたごまの鉢にあけてとんかつを浸して食べた。
さくさくの衣を通して豚肉をかみ締めると、中からじんわりと肉汁が口の中に広がる。
初めて入った店だったが、当たりだとつぶやきつつ、
とんかつ、ご飯(もしくは千切りキャベツ)、味噌汁のローテーションを
程よく回しながら食べていると、あることに気づいた。
さっきまで近くに座っていた婦人が会計を済ませ、店内は私一人だけになっている。
私の右後ろにはレジがあり、パートらしき女性が立っていて視線を感じる。
カウンター越しの調理の男性も仕事をしながら時折目線が合う。
レーザービームほどでないが、この視線になぜか落ち着かない。
商品・サービスは、ちょうど卵の断面図のような三層構造で成り立っている。
黄身に当たる部分を「中核となるベネフィット(便益)」という。
なぜその商品を利用するのかという理由である。
次に、白身の部分にあたるのが「商品の形態」。
便益を商品として具体化したもので、
商品の品質やブランド、スタイル、パッケージなどである。
そして卵の殻にあたる部分が「付随サービス」。
商品にともなって提供されるサービスだ。
配達と信用供与、取り付け、アフターサービス、保証など。
今回のとんかつ定食の場合は、
便益は、食欲を満たしたい欲求に加えてとんかつでなければならない理由。
商品の形態は、ご飯や味噌汁やサラダ、ごまのすり鉢、そしてとんかつ定食そのもの。
そして付随サービスは、店員さんからの接客、店内で醸し出している居心地の良さなどの雰囲気などである。
とんかつ定食は小ぶりながら美味しかった。
しかし店員さんの立ち位置や厨房の料理人を含め雰囲気が落ち着かない。
そして、ソースをぬぐう紙ナプキンがテーブルにないことや
レモンを絞った後に手を拭くおしぼりがないこと、
代わりのティッシュもカウンターに一箱しか見当たらないことも親切でなかった。
この店を次に訪れるだろうか?
残念ながら私はこの店をリピートしないだろう。
美味しいとんかつの店を私はいくつも知っているからだ。
業績をアップさせたい、他店との差別化を図りたいと思ったら、
顧客視点で業務の流れを見直してみることをおすすめする。
顧客が来店してから帰るまでを一つ一つ検証してみるのだ。
そして卵の三層構造をひとしきりチェックした後に、
合格点がとれれば、商品は顧客に受け入れられる可能性が高いということになる。
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