エースを投入せよ!
残念ながら2軍、3軍には1軍の売場はつとまりません。
先ずは1軍のエースの売りっぷりを学習させる必要があります。
人は製品を買うのではない。製品のもたらす恩恵の期待を買うのである
T.レビット
先週末、子どものランドセルを購入するために百貨店に行きました。
いまのランドセルは、カラーも豊富で、素材や機能がとても充実しています。
GPS付きや手縫いなんてのもあります。
私の子どもの頃は、黒か赤しかありませんでしたから(笑)。
久々の休みにショッピングも兼ねて数店見て回ったのですが、
商品だけでなく、店員の対応にも随分差があるものだと思いました。
最初に訪れた店では、30代の女性。
書き物をしているようでしたが、私たちファミリーに気づくや接客開始。
言葉遣いは丁寧ではありますが、商品知識にかけるようです。
私「このA社の○○とB社の△△は違うのですか?」
店員「ああ、それは名前が違うだけで機能は一緒なんですよ。」
私は事前知識ゼロで店に行きましたから、疑問に思った点はすべて質問します。
説明してくれるのですが、いまひとつピンとこない。
次に訪れた店では、20代の女性が接客。
最初に目があった40代の店員を呼んだのですが、来たのは若い店員。
この店員、最初からやる気なし。通り一遍の対応。
他の店員も立っているだけ。
時間が終われば、あとは帰ります的な対応。
展示が少ないこととこの店員の無愛想さもあって早々と退散。
この時点で最初の店舗でみた商品を購入しようとも思ったのですが、
妻の要望もあって次の店舗へ。
ここでは、40代の女性が担当。この方をAさんとしましょう。
しばしトイレにいって戻ってくると、妻がその店員の説明にしきりに頷いています。
私も途中から商談に参加。
なるほど、説明がとても丁寧でわかりやすい。
私の商品の選択ポイントを見抜いて、欲しい商品を次から次へと持ってきます。
例えば、先ほど最初の店舗では、「名前が違うだけで機能は一緒」という説明でしたが、
ところが全然違うのです。違いについても簡単明瞭に説明してくれます。
「へえ~、そうなの」思わず唸ります。
いろいろ説明を聞く中で、他店にあってこの店にない商品についても聞いてみる。
この店にとっては「弱み」です。
Aさん、ほんの一瞬だけ考え込みましたが、すぐに言葉が出てくる。
私がなぜその質問をしているのかを先回りして答えてくれる。
その機能がなくても困らないことに、私も納得します。
最後に、Aさんが実によくできた対応なので、商品を包んでもらった後に、名刺をもらってしばし立ち話をしました。
聞いてみると、入社7年目でランドセル売場担当なのだそうです。
シーズンが終わると、次は「ひな人形」と「五月人形」を担当すると言います。
「これも売りまくるんだろうな~」
そう思わずにはいられないほど、よくできた接客対応でした。
経済環境が厳しくなれば、顧客の商品を見る目も厳しくなりますが、
目的買いで来店した顧客は、入店してから帰るまでの間に確実に“キャッシュポイント”は存在します。
それを購買に結び付けられるかどうかは店側の問題。景気ではありません。
要は、顧客の財布のひもが固くなったから“売れない”のではなく、“売っていない”のです。
売っていたとしたら、私が先に訪れた2店舗は、私という顧客をゲットできたことでしょう。
それが私だけでなく、他の顧客にもそうだったら。。。
この2店舗のすべての店員がそのような対応だったら。。。
この店舗にとって機会損失は膨大な金額になります。
T.レビットは言います。
『顧客の考える「よりよい」が内包している期待の諸条件が満たせるように、
企業全体が効率よく組織化され、方向づけられなければならない。
企業の競争力を強化する道は、これらの諸条件を積極的に、情熱的に満たすことを通じる以外にはない。』
とくに、「情熱的に満たす」という点をレビットは強調しています。
シーズンの売場には、1軍のエースを投入せよ。
残念ながら2軍、3軍には1軍の売場はつとまりません。
「100年に1度の不況である」とするのなら、なおさらのこと。
彼ら彼女らを売場に出す前に、情熱を持ったエースの売りっぷりを学習させる必要がある。
店舗のマネージャーはわかっているでしょうか?
景気が後退局面にあるのは事実ですが、対応の仕方は企業によって確実に温度差があります。
シーズンものはただでさえ売れるものですしね。
だからこそ能力のある人にまかせることで、
よりすばらしい結果がついてくるものですね。
おいておけば売れるから的な視点では、
他社に売り上げもって行ってくださいって
いってるようなものなのかもしれませんね。
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