事業仕分けその次は
目的に関する最も困難で最も重要な決定は、何をなすべきかについてではない。
それは第一に、もはや価値なしとして何を捨てるかという廃棄についての決定であり、
第二に、何を優先するかという集中についての決定である。
(P.F.ドラッカー)
政府の行政刷新会議は、2010年度予算概算要求を「事業仕分け」により公開の場で実施しています。
税金の使われ方に国民の関心が高まっている時に、非常にわかりやすい画期的な手法だと思います。
これまでどれだけのムダがあったのかと、今さらながら気づかされる方も少なくないことでしょう。
その一方でパフォーマンス的な雰囲気も漂っているようにも見受けられます。
次々、ボードに書き込まれる廃止、見直しの文字。
元キャスター出身の女性政治家が関係者を前にバッサバッサと切り込んでいく様は、
さながら時代劇やヒーローものの正義と悪の対立軸を見ているようです。
「10事業700億円削減」「14基金に国庫返納要請=総額で3000億~4000億円」
その日の収穫がマスコミを通じて報道されると、国民目線では非常にわかりやすく思う反面、
1事業1時間で決定する仕分け人の拠り所となる情報は、
どの程度現場をみて議論されたのもなのかと不安も感じずにはいられないのです。
企業をコンサルティングする場合には、現場、現実、現物の3現主義が必要になりますが、
仕分け人の方々はどうなんでしょう。
日経新聞に次の記事が掲載されていました。
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政府が2009年から約5年間でアフガニスタンへ最大で50億ドルを拠出する。
日本は02年に20億ドルの支援を約束した。
治安が悪いなかを援助関係者が駆け回って調整を進め、8年間に約18億ドルを消化した。
これに比べ5年間で50億は援助関係者にしては「途方もない数字」である。
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民主党による民政分野を中心とする支援1年900億円 VS 自民党による給油活動による支援100億円。
税金の使い道としては、半端な数字ではないわけです。
先に政府が発表した「2020年までに温室効果ガスを1990年比25%削減する」も唐突な感じがしましたが、
今後のわが国に大きな影響を与えかねない方針が、
決定プロセスが見えない中でどんどん決まっていくようにも映ります。
そこで冒頭の言葉。
『目的に関する最も困難で最も重要な決定は、何をなすべきかについてではない。
それは第一に、もはや価値なしとして何を捨てるかという廃棄についての決定であり、
第二に、何を優先するかという集中についての決定である。』
政府にはアフガン支援にしても、環境対策にしても「事業仕分け」のように、
決定プロセスのわかりやすさも必要になるのではないでしょうか。
情報公開によって国民目線で、「廃棄についての決定」に注目が集まった。
その次は、「何を優先するか」に政府自らも高いハードルを設定した訳です。
当然ながら国民の視線はその1点に集中します。
その次に行うことにもモニタリングすることが必要です。
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